この記事は「ソーシャルゲームでウハウハ考察 〜旧来ソーシャルゲー&パズドラの巻〜 (by ハラちゃん)」の後編になります。前編は読んでおいた方がいいかも。
前編を書き終えた後、艦隊これくしょん(艦これ)のお金儲けの記事を早速書こうとしたところ、古本屋方面から「エロ本トークを始めるべきだ!」という毒電波を受信し、死んだ魚のような目で指を操られながらも投稿した結果がこれでした。週内には投稿とは何だったのか。操られてしまったのだから仕方無いよね。
さて、ソーシャルゲームでウハウハ考察の前編では、「旧来のソーシャルゲーム」と「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」のお金儲けの方法を考察しました。
簡単にまとめますと……
旧来ソーシャルゲーム
・ゲームを便利にするアイテムを売って儲ける。
・プレイヤー同士の対戦に使える強いキャラを売って儲ける。
・課金者は無課金者に対して優位に立てる。
・プレイヤーがたくさんいればたんまり儲かるが、プレイヤーが集まらないと運営費だけ無駄にかかってしまう。
・ブームが起きるのを狙い、ブーム時に一気に儲ける短期決戦型。
それに対するパズル&ドラゴンズの新しいところ
・有料アイテムをことある毎に無料配布しまくる。
・プレイヤー同士の対戦要素は無く、運営が用意したダンジョンをクリアしていくだけのコンシューマーゲームに近いゲーム性。
・課金者と無課金者の差は少ない。
・1プレイヤーごとの課金額は少ないが、その代わり大勢のプレイヤーを獲得した。
・平均課金額は少なくとも、多くの客からちょびちょびと長く儲けていく長期戦型。
だいたいこんな感じでしょうか。
ことあるごとに切りの良いダウンロード数到達を発表し、それを肴に宴を続けるパズル&ドラゴンズ。
どこでお金を儲けるつもりなんだと心配されたゲームだったのも過去の話。
口コミを元にパズドラへ流出を続けていくプレイヤー、そして流れていくお金は無視できる規模のものではなくなっていきました。
あらゆるメディアが取り上げ、いつの間にやらAndroidでもiOSでも売上ランキング1位を獲得するほどまでになります。
ソーシャルゲームのメインストリームはやはりスマホ!Flashなんて無かった!
などと言う誰かの叫びが聞こえてくるかのようです。
パズル&ドラゴンズの「パズル」のところを「クイズ」に変えてみたり、「コイン落とし」に変えてみたり、「ぷよぷよ」に変えてみたり。
全力で「次のパズドラは俺だ!」と言わんばかりの新しいソーシャルゲームが考案されては、大いなるパズドラの壁に突進するという光景が数ヶ月前からよく見られていました。
ただ、どいつもこいつもプレイ画面の見た目も内容もだいたいパズドラの路線をそのまま引き継ぎやがっているため、あの形式にソーシャルゲームのユーザも食傷気味となっていきました。
そんな中で今年の4月に現れたのが「艦隊これくしょん(艦これ)」。
第二次世界大戦中に活躍(?)した大日本帝国の軍艦を擬人化した女の子達(艦娘)が、敵である深海棲艦を相手にドンパチをやるソーシャルゲームです。
駆逐艦や軽巡洋艦、戦艦や空母などを組み合わせて自分だけの艦隊を作り、様々な海域を乗り越えていくのがメイン。
こちらもパズドラと同じく、口コミで人気が爆発したタイプのソーシャルゲームでありますが、近年のソーシャルゲームと比べ様々なところが変わっていました。
まず、GREEもmobageも絡んでいません。配信しているのはDMM.com。ソーシャルゲームでは正直言ってあまりぱっとしないイメージの企業です。
さらに、このソーシャルゲームは基本的にはパソコン専用であり、しかもFlashで作られています。ソーシャルゲームといえばスマートフォン!脱Flash!の風潮に対し全力で中指を立てているところがROCK。
また、本作はエンターブレイン等の作品でおなじみの角川ゲームスがソーシャルゲームに殴り込みをかけた初めての作品となります。
以下がリリース前のゲームニュースサイトでの記事。
4Gamer.net ― 今度は「艦艇×娘」。角川ゲームスとDMM.comが新作ブラウザゲーム「艦隊これくしょん -艦これ-」のサービスを今春開始。事前登録は本日スタート
リリース前の記事のタイトルの段階で「今度は」と言われているあたりで分かるとおり、物を擬人化したゲームというのは既に多数存在しました。
そもそも八百万の神であるとか、付喪神だとかそういう概念がある日本において、物を擬人化してエロい妄想をすることなど余裕のよっちゃん。
さらにいうと「萌え萌え2次大戦(略)」という戦闘機やら軍艦やらを擬人化したそのものズバリなゲームも5年以上前に発売されているため、ぶっちゃけ二番煎じ感が否めず、「とりあえず兵器擬人化して女の子脱がしてキャー!とか言わせとけばいいんだろ?」という魂胆が見え見えな(ハイ!その通りです!)あざといソーシャルゲームだと思っていた時期も俺にはありました。
まず他のソーシャルゲームと比べて違うところは、お金を払わずとも強いキャラが手に入るということ。
第二次世界大戦時と言えば、やはり華は高火力でドカーン!防御力はカキン!な戦艦であり、当時絶大な威力を発揮した空母も含めて、「手に入ればさぞかし強いんだろうなー。でもきっと運営会社的にはここで儲けたいはずだから高いんだろうなー。」と思っていたところ、普通に通常コマンドで建造できました。事前登録者向けのプレゼントである「軽巡洋艦 大井」もさっき敵を倒した際に普通に出てきました。
もちろん最初に手に入る軍艦こそ駆逐艦ですが、手持ちの資源を使うことで大体のキャラを建造することが出来ます。もっとも、この資源こそが後々悩みの種になるのですが……。
また、珍しい特色としては「轟沈」という仕様が挙げられます。
第二次世界大戦中に使われていた軍艦達は敗戦していることからも大体想像できるとおり、大体沈没しております。
この艦これにおいても、戦闘時に一定の条件を満たしてしまうとキャラが轟沈し、二度と戻ってくることはありません。
いくらレベルをあげても轟沈すれば海の藻屑。ウィザードリィばりに恐ろしいロスト要素が仕込まれています。
歴史的にも元ネタの軍艦が轟沈しているだけにプレイヤーの心中での深刻さは増し、大切に育てたキャラが大破でもしようものなら、心の中で悲鳴をあげてしまうわ、「言葉にできない」(小田和正)をBGMにした走馬燈が流れるわ、えらいこっちゃです。正直あまり服が脱げても嬉しくない。
ただ、それだけあって長く付き合った艦隊にはまるで相棒かのような絆を感じ、敵とやり合うその砲撃の一発一発にすら一喜一憂してしまいます。
旧来ソーシャルゲームではおなじみの「他プレイヤーとの対戦」もありますが、こちらでは轟沈無し。
出撃するのと同じように燃料や弾薬こそつかいますが、経験値もかなり多く貰えるので、育て上げた艦隊の強さをにっこりしながら眺めつつも安全にレベルアップできて素敵です。
また、駆逐艦などの一見弱そうに見えるキャラでも、ソーシャルゲームでよくある「キャラ合成」(キャラ同士を合成させ、親となるキャラの能力値を上げる)だけでなく、様々な場で活躍できるところも特徴です。
一見すると、戦艦や空母だけそろえていればどんな敵でも勝てるのでは無いかと思いますが、戦艦や空母はすごいだけあって出撃するだけでたくさんの資源を使います。
よく空母の赤城さんが「大食いだ!フードファイターだ!」などと言われますが、ぶっちゃけ空母も戦艦もみんなフードファイターです。
燃料、弾薬、ボーキサイト。戦艦や空母の運用をするにあたっては、まずこの3つの資源が恐るべき勢いで減っていきます。
あと、装備の開発やキャラの建造でも資源が減っていくため、強いキャラや装備を出そうとするたびに、貧乏気分を味わうことになります。
資源は時間が経過するか、アイテムをリアルマネーで購入することで回復しますが、1つめの艦隊の他にも艦隊を組んで「遠征」させ資源を探させることでも増やすことが出来ます。
その遠征にうってつけなのが、燃費がいい駆逐艦達だったりするのです。
また、敵としても味方としても出てくる「潜水艦」を戦艦や空母では攻撃出来ないため、潜水艦を掃討する役目を果たし大活躍したりします。
ゲーム性的には、艦隊の進むルート決めから実際の戦闘に至るまで運の要素がかなり強くなっています。
先述した潜水艦への対策など、艦隊の組み方や装備、レベルあげや艦隊内での順番を変えたり、敵艦隊ごとに陣形を変えたりと、勝つ確率を上げるための戦略は多々あるため、やりこもうと思えばいくらでもやり込めます。
ただ、ランダム性が高い故に、レベル上げしまくり鍛え上げたマイ戦艦が目の前に敵戦艦がいるのにも関わらず率先して駆逐艦を狙いやがり、その間に味方の駆逐艦が敵戦艦からの攻撃を食らい大破したことを無視しつつ「艦隊の頭脳と呼ばれるように頑張りますね!」などと抜かしやがるギャグみたいな光景がよく見られます。
そんな時は「誰がてめえを艦隊の頭脳と呼んでやるかバカヤロー!」などと心の中で思いながらほほえましく見ていてあげましょう。
必死に攻略するのもいいですが、自分が作り上げた艦隊が敵艦隊を圧倒的火力で倒していくのを見て和むというのもいい楽しみ方ではないですか……。
さて、本題の艦これにおけるお金儲けの方法ですが、一日中どっぷりやりこんだりイベントで上位を目指したりしない限りは、基本的には課金の必要を感じないほどに快適なプレイができるゲームです。
日や週ごとに用意されている任務(クエスト)をこなしていくと、資源の他にも有料で売っているはずのアイテムがたんまり手に入ります。
永続的に続くので課金すべきものとして、ダメージを受けたキャラを回復するドックの数を増やす「ドック増設キット」(1個1000円)と、キャラ保有数を増やす「母港拡張」(10隻につき1000円)が挙げられますが、こちらにしても別に無くとも支障なくプレイ出来ます。
大切に育てたキャラの轟沈を避けるための課金アイテムなどもありますが、システム上プレイヤーが無理をさせない限りキャラが轟沈をすることはないため、攻略を急ぐ人や心配性の人以外には必要ないアイテムとなっています。
では、ゲームのどこでお金儲けをするかというと、これはもう善意に頼るしかありません。
なにぶん、運の要素が強いゲームなのでお金を積んでも勝てるようなシステムではありません。
現状の艦隊これくしょんは、ユーザ数の急激な増加のためことある毎にサーバが陥落するような状態であり、アクセス過多になるたびに運営スタッフが真面目な態度で必死にアナウンスしています。
ユーザ数が増えすぎて現在に至っては「着任抽選が当選するのを待つゲーム」とまで言われる有様であり、運営側の修羅場っぷりもありありと想像できます。嬉しい悲鳴というか、嬉しい断末魔があがっていそうです。
そういう状況であるため、一部ユーザの間では「運営にお布施をしよう」と積極的に課金を行う姿勢をみせる人達が現れました。
サーバとスタッフが死にかけることによりお金が集まる。「がんばれ運営マーティング」の誕生です。
というのは悪い冗談として、なんと言っても角川ゲームスはあの角川グループ傘下なので、メディアミックス展開での収益をメインにするつもりだと思われます。
艦隊これくしょんは元々の軍艦を元にしたキャラクター設計が秀逸であるため、グッズを待ち望んでいる人は非常に多いのです。
アニメイト等一部ショップですでにグッズの先行販売が始まっているのですが、ラインナップ的にまだ満足できる状態ではありません。様々なキャラのフィギュアも発表はされていますが、実際発売されるまでにはかなりの時間がかかるでしょう。あとカレー高え。
そのため、艦これグッズに餓えた人達がふらりとプラモ屋で軍艦コーナーで見知った名前を見つけ「赤城だ!加賀だ!」と駆け寄っては、パッケージを見て「って船じゃねーか!」ととち狂ったツッコミを脳内で入れる、という狂気じみた状態も一部に見受けられます。当たり前だろ。
そこから一歩進み、軍艦プラモを擬人化された女の子っぽくカラーリングする人も現れたりもしています。船に性欲を燃やす時代がついに来た、という感じです。頑張ればいける。
そんな感じで自作グッズ製作に走る人達も出てきているため、実際に公式が大量にグッズを発売したときの爆発力は、まるで戦艦の火力の如く凄まじいものになるに違いありません。
正直、今であれば「艦娘がうたったCDだよー」と言いながら歌のうまいおっさんが歌った軍歌のCDを売っても完売しそうなテンションです。詐欺とか言われて間違いなく大事になりますが。
漫画・CD等含め角川グループが「艦隊これくしょん」を題材にどのようなメディアミックス展開を仕掛けていくか。そこが見物だと言えましょう。
というわけで、これでパズル&ドラゴンズと艦隊これくしょんの考察が終えたいと思います。
もちろんこれはお金儲けの方法だけの考察であり、実際にこれを踏襲してソーシャルゲームを作ったとしてもそれはヒットしないことでしょう。
パズドラにせよ艦これにせよ、キャラクターの見た目・パラメータ等含めた全体的な秀逸さと、ゲーム自体のシステムが奇跡的なバランスで組み合わさったことによりヒットしたのです。
お金を払わない人とお金を払う人の差を小さくしてユーザ数を増やしたところで、最終的にヒットするかどうかを決めるのはゲーム部分の面白さ。それと時の運だと思います。セガの歴史的に考えて。
ちなみに、今回取り上げた2つのゲームは無名の状態から口コミでユーザを増やしていきヒットしましたが、元々「有名なタイトルであり」「元々のユーザ層が濃い」場合には旧来のソーシャルゲームの方法でも大もうけできます。
その最たる例が「アイドルマスターシンデレラガールズ」です。
元ネタとなる「アイドルマスター」のファン層自体が元々お気にのキャラのブルマ姿を見るために1500円払ったりするような猛者揃いであるため、財布についた導火線に火をつけるだけでそれはもうすごい金額が流れます。
アイドルをモチーフにしているだけあって、CDを発売しそれらもオリコンランキングに普通にランクインするなどメディアミックスも完璧。ウハウハで笑いがとまらないことでしょう。
また、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」では、アニメ放送終了とゲーム配信までの間を限りなく短くし配信することにより、アニメ視聴者をその熱狂が冷めぬままゲームの方に引きずり込むという試みが行われ見事に成功しました。
ゲーム内容としては音ゲーにあたるのですが、難易度を上げれば普通の音ゲーマーも割と楽しめる感じでなかなかにいいと思います。
ただ、旧来ソーシャルゲームにおけるガチャが「勧誘」、売却が「転部」という名目になっており、「一般生勧誘を行った後、資金繰りのために転部勧告を行いゴールドを手に入れる」という一連の流れがアイドルスカウト詐欺のようでシュールです。被害者の会とか作られてそう。
というわけで、まだまだ儲けられるソーシャルゲーム業界。
今でも旧来ソーシャルゲームの枠組みから抜け出そうと、様々なアイディアが盛り込まれたソーシャルゲームがたくさん生み出されています。
これからももっと面白いソーシャルゲームが出来ることを祈り、そしてリワード広告を出して僕の金銭状況を救ってくれることを祈っていきたいと思います!結局金かよ。

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