金というものは何をするにしてもついてまわる!
それはゲームにだって当てはまる!
遊ぶのだって作るのだって金が無ければできんのだ!
(前回の記事はこちら)
ゲームメーカーとして儲けるためには、新品でゲームを買ってもらわなければならないわけだが、中古ゲーム市場が存在する以上、なかなかそう買ってはもらえない。
子どものおもちゃとしてのゲームソフトは子どもが買うにはお年玉を待たなきゃいけないぐらい高すぎるし、薄給の中でもゲームを求める人もいる。
かくいう私もたびたびお世話になっているので悪いことは言いづらいのだが、古本等も含めて中古市場の存在はあらゆる著作権者を悩ませていた。
中古ゲームに関しては90年代後半から裁判沙汰となり、最高裁までいった結果、中古ゲームの販売が認められるという形になった。
XBOXの新型が中古ゲームの起動に金銭を要するらしい、という話が広がって大騒ぎとなった挙げ句、マイクロソフトの発表で「中古ゲームは無償で動作する」と明言したことは記憶に新しい。
となると重要になるのは、いかにしてユーザにゲームを売らせないか、言い換えれば「自分で持っていたい」と思わせるかである。
今でこそオンライン認証やDLCによって、中古ゲームからでもゲームメーカーが収益を得る仕組みが出て来ているが、新品のゲームを売ってこそ儲けが出るのは今も同じである。
そのために各ゲームメーカーは知恵を絞り、システムを複雑化したりボリュームを増やしたりするなどして対策を行ってきた。
その結果、製作費やらなんやらがかさばり色々と大変だったりするようだが、これについては本題ではないので省略する。
問題はレトロゲームである。
インターネットやパソコン通信が普及する前に生まれたゲーム達は、オンライン認証やDLCなど出来るわけがない(後にファミコンで株取引したり、FAXを通じてスコアを競う大会があったりはしたが)。
中古ゲーム屋がいつから出てきたか分からないが、子ども間でのソフトの貸し借りも中古ゲームとは違うながらも「新品のゲームを買わずにゲームを遊ぶ」行為に値する。
そのため、レトロゲームも「自分でこのゲームを持っていたい」と思わせることが必要とされるのだが、ゲームハードの性能的にも現在のゲームのようにボリュームをあげるのは技術的に難しい。
ユーザがプレイしてくれる時間を稼ぐため、いったいどうするかについてゲームメーカーは様々な対策を考えてきた。
1.高難易度化
最も簡単にプレイ時間を稼ぐ方法がこれである。プレイヤーにクリアをさせないのだ。
安易かつ安直で駄目なように思われるが、ファミコン現役当時のアーケードゲームは「回転率」(要するに1プレイに要する時間の短さ)が重要視された挙げ句、高難易度化に走ったものが多かった。
よってそういう高難易度のゲームに慣れ親しみ、いかに1コインで長くゲームするかを考えていたプレイヤーである子ども自身も、「このゲーム難しすぎる!やってられるか!」とはすぐに投げ出さなかったのである。
もちろんこの方法は諸刃の剣であり、あまりにも難易度が理不尽すぎたり、「もう二度とやりたくない」と思わせるようなゲームになってしまうと「クソゲー」などと呼ばれてしまうので要注意だ。あと、カプコンが何回かつぶれかかったのも多分だけど子ども達にトラウマ与えまくったからだと思うよ。
2.低難易度化
1とは逆にアーケード版からの移植する際に、様々なパワーアップアイテムが追加される場合もある。当連載でも以前紹介した「影の伝説」などが分かりやすい例だろう。
影の伝説のように一瞬の気の緩みが即死に繋がるゲームの場合は、逆に低難易度化することによってゲームが下手な人も手に取りやすくなる。
これなら元々高難易度のアーケードからの移植でも「もう二度とやりたくない」とトラウマを植え付けられることもなく、末永くプレイヤーに楽しんでもらえるし、面白いゲームであれば大ヒットも見込めるだろう。
3.隠しアイテムを大量に仕込む
今でこそ「ソーシャルゲーム」というくくりでゲームを語られることが多いが、そもそもゲームというのはコミュニケーションの道具として生まれたものである。
ゲーム中に隠しアイテムを隠すと、「どのようにすれば隠しアイテムが出るか」をプレイヤーが情報交換し始める。
その隠しアイテムの量が多ければ多いほどプレイヤーの所有欲が高まると同時に、そのゲームを遊んだことの無い人も「自分もその話題に入りたいな」とゲームの迷宮に引きずり込むことができるのである。
ただ、隠しアイテムがしょうもないようなものだったり、手に入れる難易度が高かったりするとプイと目を逸らされがちなので要注意だ。
こちらも元々はアーケードゲームから存在する要素で、古くは1983年発売のナムコの「ゼビウス」から。1984年ナムコ発売の「ドルアーガの塔」では隠しアイテムを自体をゲーム性の重要要素として置き大きな話題を博した。
「高橋名人の冒険島」のハチ助(コンティニュー可能にするアイテム)のように、「低難易度化」と組み合わせて使われることも多かった。
4.面白いゲームを作る
で、最後に結局やってくるのはこれである。
ハードスペックを限界まで使ったいいグラフィック、いい音楽、いい操作性、いいシステム、いいレベルデザインのゲーム。
これが出来たらゲームも売れに売れて大もうけ、という単純な話であればいいのだが、現実はなかなか難しい。
ゲームを作るには金がかかる。時間がかかればかかるほど製作費はかさむは、儲けは出ないわで大変だ。
それに世の中にはいわゆる流行があるがそれはゲームに対しても一緒で、「再評価」された結果、有名になり人気になってプレミアがついたなんて言う、ゲームメーカー的に残酷な結末を迎えたソフトなんていくらでもある。
分かりやすいところが「スペランカー」だ。ちょっとしたことで死んでしまうことで「クソゲー」だなんて言われていたが、インターネットで話題が普及し「再評価」された結果、たくさんの人に遊ばれるヒット作品になった。PS3等でのリメイクに恵まれているだけまだ救われているが。
レトロゲームの面白いところは、「いかにこのゲームを面白くして売るか」とゲームクリエイターが脳を絞りに絞りまくったものが、分かりやすく集約されているところである。
グラフィックも音楽もシステムも色々と複雑なゲームが多くなった今、「何が面白くて何が面白くないか」ということが分からなくなってきている感がある。
そんな時は昔のゲームを買って遊んでみるといいだろう。
ファミコンだとは思えないグラフィックだとか、ファミコンだとは思えないサウンドだとか、面白いアイディアだとか、様々なものが貴方の心をしびれさせてくれるだろう。ビビビ!
(次回は1984年発売のストリートファイトな対戦格闘アクションゲーム!待て!次ラウンド!)

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