2012年06月10日

「僕」と「台風」と「かわいい」(by ハラちゃん)


  男女の間で「かわいい」の定義が違う、というのはよく言われることだ。
 「かわいい女の子」というテーマで人を探すにしても、男女ごとで判断する基準が違うから当たり前の話であるのだが、「男の場合は主に顔と胸と尻しか見ていないヨ!」とか言っちゃうと、「男子サイテー!」からの「せーんせーにゆっちゃーおー!せーんせーにゆっちゃーおー!」と言う最悪なコンボを喰らってしまうので気をつけよう。
 それはさておき、実は男女間では無く、”大人と子どもの間”でも「かわいい」の定義が違うのだが、それについてはあまり指摘されたり議論されたりするとはない。
 何故かと言うと、これまた当たり前の話で、「子どもが何故かわいくないかをうまく言葉で伝えられない」からなのだが、実際に子どもがそれを訴えたところで、子どもの親がそれを買わなくなることはないだろう。
 具体例をあげよう。大人はかわいいと思うけれど、子どもは可愛くないと思うものを。



 僕が小さい頃は割とボロボロの家に住んでおり、台風がやってくるたびに従姉の家に避難をしていた。
 従姉の家にはファミコンがあり、だいたい3歳ごろからゲーマーだった僕は大喜びしていた……。
 だが、それはあくまで昼の話だ。
 夜になると、寝室としてあてがわれた部屋に飾られているアレが気になって仕方が無くなるのである。
 それは「日本人形」だ。
 従姉の家の日本人形は、侍の衣装を着た子どもの人形であり、大人になってみた今からすると「凜々しくも非常に可愛らしいなぁ」と思う程度のものなのだが、子どもの頃の僕はアレを見て「殺される……!」と恐怖していた。

 同じ日本人形でも雛人形は怖くない。やつらはどうせ変な音楽を演奏して、こちらのMPを減らしてくるぐらいしか出来ない。
 リアルではモンクタイプである僕の力を持ってすれば、ワンパンチでKOである。経験値稼ぎにもってこい。
 だが、あの日本人形は侍である。腰には刀をぶら下げている。
 動かない今でこそワンパンチでKOできるかもしれないが、もしかしたら夜寝ている間に、そーっと忍び寄って首を狙って凶刃が振り下ろされる、なんてこともあるかもしれない。
 いつ動き出すかしれぬ、と飾られている日本人形をじーっと見据える。
 数分もするとにらみ合いに負け、別の方向に目を逸らす。すると、箪笥の上になんと虚無的な表情をしたこけしが!ぎゃー!
 こけしは得体が知れぬ分に余計に駄目だ。夜寝ている間に、目からレーザービームでも出してこちらを攻撃されたらたまらない。
 そんな極限の精神状態で見た夢は、相当な悪夢であった。
 侍の姿をした日本人形が、目からレーザービームをこちらに放ってくる悪夢。
 遠距離・近距離ともに極められては、ワンパンチを決めるどころの話では無い。

 子どもの頃は色々な知らない楽しいものがあり、毎日が楽しかった。
 でも、それと同じぐらいに「理解できない不思議なもの」があり、僕らはそれらを毎日怖がっていたのである。
 特に人形なんてものは、自分とほとんど似たような姿をしているのにピクリとも動かない。
 きっと子どもの頃は、まるで死体と対面しているかのような根源的恐怖を人形を見て感じていたのかもしれない。
 僕達の記憶はいつだって楽しいことだけ留めおき、辛かったことはすぐに忘れ去ってしまう。
 それが「子ども達が日本人形に恐怖する」という歴史の繰り返しの原因になっているとしたら、
 なんとも興味深い話だなぁと僕は考えるのであった。


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posted by BAA at 23:34 | 鹿児島 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 戯言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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