メーカー:タイトー
発売日:1986年4月18日
ジャンル:アクション
(前回の記事はこちら)
平成元年生まれの筆者としては、忍者ものというのは割と親しむ機会のなかったカテゴリだった。
何と言ってもパッと考えて思い浮かぶのが、ハリケンジャーだとか、忍たま乱太郎だとかぐらいしかないのだ。
もちろんそれらに登場したため、手裏剣だとか煙玉だとかそういうものは知っているが、触れた作品が作品であるため、忍術に対する憧れというかそういうものはあまり抱いてこなかった。

今回紹介するのは、タイトーの「影の伝説」。こちらはいわゆる忍者ものにあたる。
割と新し目の忍者ものゲームとなると、ステルスアクション要素が強い「天誅」シリーズや高難易度3Dアクションゲーム「NINJA GAIDEN」があげられるが、こちらは刀と手裏剣を武器に戦うアクションゲームでプレイ感覚は先ほどあげた二つとは異なる感じである。
ゲーム内容としては、主人公の「影」を操り、さらわれた「霧姫」を救出するサイドビュー型アクションゲーム。
1ステージは森・城前・城壁・城内・ボス戦の5シーンで構成され、これを4回クリアすると一周クリア。さらにもう一周クリアすると別のエンディングを見ることができる。
主人公の影は超人的なジャンプ力で木の上を飛び交ったり、手裏剣や刀で敵を倒したりするわけだが、ちょっとでも油断をすると敵の手裏剣や炎を受けて死んでしまう。
発売当時は二周目のエンディング画面を写真に収めて応募すると、抽選でプレゼントが当たるキャンペーンを行っていたらしいのだが、実はこれがなかなかに難しい。
このゲーム、基本的に一発死なのである。

敵として登場するのは、青・黒・赤の忍者と妖坊、そしてボスたちとなる。
忍者は刀・手裏剣・煙玉を使って攻撃してくる。敵忍者の刀は振りかざしてから振り下ろすまでタイムラグがあるので、振りかぶっている間に敵の後ろに回り、刀を振り下ろし終えてから攻撃すれば安心して倒せる。
敵忍者の投げる手裏剣に関しては刀で撃ち落とすことができるため、プレイ中は基本的に刀を常に振り回していた方が安全だ。
だが、煙玉に関しては刀で打ち落とすことができないため何とかしてよけるしかない。妖坊が出す炎に関しても同様だ。
ただ避けるにしても突然登場しては、見てから反応できるギリギリのスピードで攻撃を放ってくるので大変である。
特にジャンプ中などは、着地まで軌道を変えることができないためとても危険。
でも地上にいたら地上にいたで、手裏剣を刀で確実に落としていかないとやられてしまうので難しい。
でも一応救いの手は用意されている。
この影の伝説は元々1985年にアーケード版で発売されたものの移植になるのだが、移植にあたって様々なパワーアイテムが追加されているのだ。
一定数の敵を倒すと、黄色の丸い形のアイテムが宙に浮かぶ。これを手に入れると主人公の敵の服色が変わり、手裏剣や煙玉であれば1発は耐えられるようになる。

他にも移動スピードがあがったり、手裏剣が敵を貫通するようになるため、これで楽勝かと思いきや妖坊の炎に当たると一発死であるため油断はできない。
また、ほぼ移動せずに赤色の忍者を3人倒すと、ボーナス点が取れるアイテムか、術を出せるアイテムかのどちらかが画面上方を横切る。

ボーナス点アイテムは1万点、術を出せるアイテムは分身の術か八方向に手裏剣を投げる術を出すことができるようになる。
分身の術は完全無敵であるため、思うがままに大ジャンプをして忍者っぽい動きを堪能できるが、八方向手裏剣は油断・慢心の元だ。筆者の場合、調子に乗って刀を振るのを忘れた挙句敵の手裏剣で殺されるケースが多発している。
また、城前のシーンでは刀で忍者を一定数倒すと、残機が1増えるアイテムが画面上方を横切る。これを取れれば2周クリアだって余裕……ではない。
そもそもパワーアップアイテムをとるためにはジャンプをしなければならない。ジャンプ中に炎や煙玉を受ければ死はまぬがれない。リスクとリターンのどちらを取るかという選択をプレイヤーは常に迫られ、いかに集中を切らさないかがゲーム結果を左右することとなる。
と、これまで如何に死にやすいゲームであるかを語ってきたが、プレイする際のストレスは意外と少ない。
なんとこのゲーム、雑魚敵どころかボス格の敵ですら基本的には一撃で倒せてしまうのだ。
例えば森のシーンでは妖坊を3体倒すと赤い妖坊が登場し、それを倒せばシーンクリアとなるのだが、性能的にも妖坊と変わらず、攻撃を避けさえすればごく普通に一発で倒せる。
だからこそ、「どちらが先に攻撃を相手にあてるか」という真剣勝負をしている気分に浸れるのかもしれない。
このゲームで個人的に気に入っているのは、ボス戦の戦い方だ。ボスがこちらの命を狙ってくる中、画面内を蝶がふわりふわりと飛んでいる。

一見ただの演出のようだが、実はこの蝶に一定回数攻撃してからではないとボスを倒すことはできない。
山田風太郎が書いた甲賀忍法帖のごとく、得体のしれない相手の術の正体を見破り、「その術、見破ったり!」としたり顔でボスを仕留める。
「ああ、自分は忍者なのだ!」という気分が高まる瞬間である。
一応、妖坊を3人倒すと出てくる巻物をとると、主人公が術を放つこともできるが、何とも言えない音ともに敵忍者が出てきては即死していくという様はちょっとした地獄絵図である。

「忍者になんかならなきゃよかった」と無駄に殺生を行ってしまったことに後悔したくなる。これが忍者として生まれた者の哀しみなのか……。
(パワーアップアイテム出現や点稼ぎに関わってくるからやるけども)

内容的にはかなり単調ではあるが、前述したとおり少しの油断が命取りになるゲームなのでふとした瞬間にやりたくなる面白いゲームである。
決して一気に長くプレイするようなゲームではない。集中を切らさぬようしながら2周クリアを目指してプレイしてみると、思いのほか末長く遊べることだろう。
(次回は番外編。中古ゲームとレトロゲームの関係から、面白いゲームに関して考察します。こちらをクリック!)

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